国土地理院データで地形を3Dプリントしてみた

ものづくり

今回は、ものづくり記事を書いてみます!

普段、渓流釣りが趣味でよく地図を見るのですが、平面の地図だけではわかりにくい山や川の起伏が立体で見られたらもっと面白いのでは?と思い、地形データ(国土地理院が公開する無料データ)を使って地形モデルを3Dプリントしてみました。

3Dプリンタには「積層式」と「光造形式」の2種類があります。今回は光造形式(液体樹脂に光を当てて硬化させ、精密なモデルが作れる方式)のプリンタを使用しています。

使用する道具類

以下の物品を使用しました。なくても何とかなるものもありますが、基本あったら便利です。

使用した3Dプリンタ

ELEGOO Mars4 Ultra(購入価格:38,000円、Amazonセールにて購入)このプリンタは、細かなディテールまで再現できる高解像度と便利な機能が魅力です。

レジンの手垢が付きまくっています。硬化するとなかなか取れません。

  • 解像度:8520×4320 
  • 解像度が高いと、地形モデルのような細かいディテールもキレイに表現できます。高解像度で見た時の「山と谷」の再現は感動ものです。
  • 印刷速度:150mm/h 「快速レジン」を使った場合のスピードです。今回使用した水洗いレジンでは速度は半分程度だと思います。
  • Wi-Fiデータ転送機能 通常はUSBメモリでデータを移すことが多いのですが、Wi-Fiで直接データを送れるのは非常に便利です。USBメモリに移して持っていく手間が省けます。

レジン(光造形樹脂)

レジンには複数の種類があり、用途に応じて使い分けることができます。今回は水洗いレジンを使用しました。

その他の種類通常レジン(アルコールでの洗浄が必要)、快速レジン(造形が速い)、ABSライクレジン(ABS樹脂に近い強度)など、種類によって硬さや仕上がりに特徴があります。

なかでも水洗いレジンはアルコールなどの洗浄液が不要で、水道水で洗浄できるため手軽です。

セールの時に買いだめしたELEGOO 光造形3Dプリンター用 UVレジン 405nm 水洗い樹脂 2000g 光硬化可能樹脂 LCD 3Dプリンター向け(セラミックグレー)を使用しました。時々セールで安くなっています。

スライサーソフトが入ったパソコン

3Dプリンタで印刷するには、データを加工する「スライサーソフト」が必要です。私は、プリンタ付属のCHITUBOX Basicをパソコンにインストールして使用しています。10年前くらいのパソコンでも動いています。

スライサーソフト:3Dモデルを3Dプリンタで印刷できるデータに変換するためのソフト。3Dモデルを薄い層に分けて積み重ねるデータを作り、プリンタが1層ずつ印刷できるようにします。

あれば便利な道具

  • 洗浄機 出力したモデルを洗浄するために、眼鏡用の超音波洗浄機を使用していますが、レジンが付着するので今では完全に「レジン洗浄専用機」と化しています。
  • 二次硬化用紫外線ランプ 出力したモデルを完全に硬化させるための紫外線ランプがあると便利です。ただ、今回使用した水洗いレジンとは紫外線の波長が合わなかったようで、硬化がうまく進みませんでした。そのため、そのため、太陽光パワーを借りることとしました。

データの準備と3Dプリント

ここからは、地形データのダウンロードから3Dプリントの実行までの手順をご紹介します。今回は、富士山の3Dモデル作成に挑戦しました。

本来であれば画像を張りたかったのですが、不特定多数へ公開するにはお伺いを立てる必要があるみたいです。

3Dデータのダウンロード

  1. 国土地理院の地理院地図を開く 国土地理院のページにアクセスし、「地理院地図を見る」をクリックします。おそらく人生で検索することはあまりないワードかもしれません。
  2. ズームで範囲を指定  日本地図が表示されるので、印刷したい範囲までズームしていきます。このズームで縮尺が決まります。今回は富士山を目指してズームインします。
  3. 3D化する範囲を選択 右上の「ツール」から「3D」を選ぶと、範囲指定の画面が出てきます。サイズは以下から選べます:
    • :2048ピクセル角
    • :1024ピクセル角
    • カスタム:緯度経度で範囲指定、またはピクセルでサイズ指定
  4. お試しでカスタム設定を選び、「512×512ピクセル」で富士山の火口を中心に設定しました。
  5. 3Dデータを表示・確認「OK」を押すと、3D化されたデータが表示されます。マウスでぐりぐりと動かせるので、色々な角度から確認できます。
  6. STLファイルのダウンロード画面下の「STLファイル」の「ダウンロード」ボタンを押し、「dem.stl」という名前のファイルを好きな場所に保存します。これで3Dプリント用のデータの準備が完了です。

スライサーに3Dデータを取り込む

スライサーソフトの起動 スライサーソフト(今回はCHITUBOX Basic)を立ち上げ、使用する3Dプリンタを選択しておきます。

データの読み込みと調整 ダウンロードしたSTLデータを読み込みます。モデルが横向きのため、回転させます。

ビルドプレートに収まるように縮尺を「50%」に設定しました。これで範囲内に収まり、準備OK!

スライスボタンを押す スライスボタンを押すと、データが3Dプリンタ用に変換されます。変換が完了したらデータを保存します。ネットワーク送信でそのままプリンタに送るか、USBメモリに保存してプリンタに接続することも可能です。

プリント開始!

ネットワーク送信の場合:データ送信が完了すると自動でプリントがスタートします。

USBメモリの場合:USBを3Dプリンタに接続し、「ファイルを選択」で印刷をスタートします。

プリント完了

プリントが完了したものがこちらです。

ん、なんかおかしい。

やってしまいました。レジン液の補充を忘れていました。

レジン液不足により、富士山の7合目付近?から山頂まで消失しました。。。。。そのうちもう一度チャレンジします。

うまく出力できるとこのような感じです。よく行く渓流の小さいモデルになります。

黒マジックで川を書いています。

まとめ

残念ながら富士山のモデルは失敗しましたが、レジン液さえ足りていればきれいな仕上がりになりそうです。細かい起伏も再現されており、面白い仕上がりとなりそうです。

「地形図立体化」は、平地なんかだと起伏が少なくあまり出力した際に立体感が少ないため、地理院地図の3Dデータ出力の際に、「高さ方向の倍率」を上げると視覚的にわかりやすくなります。

データだけでもぐりぐりと動かせるので、皆さんも眺めてみてください。